KLスカラン 母のぼやき 第7回
複眼で見るマレーシアB面 by KAYAの母
1つのトピックに母娘それぞれの視点で迫るコラボレーションコラム
*スカラン(sekarang) :マレー語で「今」
IB地理を、娘はお気に入りの教科なのだと言います。地球的規模でいろいろなことを学ぶこともあるようで、我々の世代が想像するような地理とは全くの別物です。だって、この宇宙船地球号の適正な人口のために人口抑制がどの大陸でどのように効果的に成功しているかなんて考えたことあります? ところで宇宙船地球号という言葉、2023年現在では死語らしいです。娘はウチュウセンチキューゴーって何? と言っていました。
地理のフィールドトリップでは校外のかなりのローカルエリアで道ゆく人にアンケートを取ったそうですが、マレー語なら回答するが英語なら回答しないと流暢な英語で断られることがあったようです。それはそれで娘はとても良い経験をしたと私は思いました。肌感覚で物事を知るって大事なことだと思います。
また、娘の話では、最近、道端の屋台やバイクでパレスチナの旗を見かけることが以前より格段に多いと。マスコミのニュースだけでなく、自分の肌感覚で世界情勢や自分が住んでいる国の立ち位置を感じることも大事。娘の場合、地理好きが原因で肌感覚アンテナを色々な方向に張り巡らすことができているのはありがたいことです。日本の中学受験時に得た基本知識としての世界地図や国旗が頭に入っていることも、世界を見渡すときに私とは違う世界が見えているようです。
目の前のチーズケーキを使ってガザ地区がどんな位置にあるかとその経緯を教えてくれた時にはその斬新な手法に脱帽でした。
さて、私のなかの地理といえば、それはGoogleマップでの「ローカルグルメ探求部とぱぶりっくトランスポーテーション部」の予習復習です。行きたいエリアの店をしらみ潰しに地図上でチェックします。そして狙いを定めて街へ出てふらふらして実食を繰り返していくうちに、そういう街歩きの嗅覚が育ってくるのです。
目指していた店の隣のGoogleマップには載ってない店が大当たりだったり、楽しみにしていた店が期待外れだったり。レビューがとんでもなく辛口だったりするのも面白いし、評価の星数が1未満だったりすると逆に行ってみたくなります。評価者数5人 で全員が星5つ評価の場合は、あー親戚縁者5人 の投稿なのねーとバレバレだし、星の数なんてアテに ならないけど、実数を見たら割合を調べるべし、割合 を見たら実数を調べるべしってことは勉強になります。最近じゃ、AIがレビューを書いたりするらしいから何を信用していいのやら分かりませんけどね。。。
一番大切なことは、大事なことの多くがフィールドワ ークでしか分からないってことです。どんな味がするの? どうやって注文するの? 向かいの席のお客さんと目があったらどうすればいいの? どうやってバスを乗り継ぐの? 向こう半年間修理中の電車の路線をどうやって乗り継ぐの? 本質はなんなの?
我々の部活動、それは失敗と小競り合いの連続です。しかも経歴的な評価も価値もゼロ。しかし爆速で得たものは爆速で消えるのかもしれないと自分に言い聞かせ、炎暑の下の小競り合いも、いつの日か、いい思い出に変わるはず、と信じて我々は今日も行く。昨今流行りの「タイパ」っていう言葉の対局の活動です。コスパはいいけどね。