KLスカラン 第2回 by KAYA

複眼で見るマレーシアA面
1つのトピックに母娘それぞれの感性で迫るコラボレーションコラム

*スカラン(sekarang) :マレー語で「今」の意

インターナショナルスクールの社会科の授業はどのようなものだと思いますか? 色々な国から生徒が集まっているため、特定の地域に特化し、先史から現在までをカバーする日本史のように教科を教えることは難しいです(少なくとも私の学校にはありませんでした。アメリカンスクールやブリティッシュスクールは分かりませんが…)。その代わりにI&S(正式名称:Individuals & Society)という社会科系の科目を全て総合した教科があります。これはMYP(Middle Year Programme=IB Diploma課程の前に受ける教育)を採用している学校では日本の小・中学校の社会科に相当するのですが、日本の科目にはない変わった教科です。

例えばフランス革命。私の学校ではGrade 9(中学3年生)のほぼ一年間のI&Sを全てフランス革命に費やしました。私は編入したばかりで英語も分からず、とにかく難しかったことしか正直覚えていません。内容としては、まず当時のフランス社会の背景を学び、丸一年かけてそこからどのようにして革命が起こったのか、人権という概念がどうやって生まれたのか学びました。

そしてそれと同時に、二学期ごろから各自興味のある革命(大体みんな自分の国の革命を選ぶ)を調べてレポートを書いたりなどしました。せっかくフランス革命を極めたのにまたそれぞれで違う革命を調べなくてはならず、とにかくなぜこんなことをやっているのか、授業の目的も自分自身が取り組んでいる課題の目的すらも微塵も理解できなかったです。

そんな難解で退屈な授業でしたが、先生は面白くて知識もある人でした。どんなマニアックなことを質問してもある程度のことをすぐに答えてくれたのは素直にすごいなと今でも思います。私は明治維新について調べたのですが、それについて質問した時に先生はアメリカの出身なのに明治維新の流れを詳しく知っていたことにすごいびっくりしました。それまでは授業内容や課題の目的が謎だったりと、そんなに先生のことをよく思っていなかったのが、その時先生ってこういう人のことを指すのだなと初めて思いました。

しかし学年末のテストではフランス革命についてのエッセイをもう一度書かされ、再び先生の考えていることが謎になりました。自分で調べた明治維新のことでもう頭がいっぱいでフランス革命について一つも覚えていなかったし、他の課題でもあまりよろしくない成績ばかりを取っていたのになぜかその最後のテストだけはとても良い成績を取ってしまい、先生の評価基準が謎なままGrade 9のI&Sは終了しました。

 

長々しくダラダラと続いたフランス革命という単元は、私がインターに転校して受けてきた授業の中でも嫌いな授業ランキングTOP3に堂々入賞の授業でしたが、今思うと個人(individuals)が社会(society)をどう形成し、どのような影響を与えられるかを生徒に考えさせることがI&Sという教科の意義だったのかもしれません。今あの授業をもう一度受けてみたら実は面白かったりするのかもしれないけど、当分の間はフランス革命はお腹いっぱいです。

ライター:KAYA(マレーシア名物ココナツミルクのジャムと同じ名前です) 2005年12月生まれ。マレーシア・クアラルンプールのアメリカ系インターナショナルスクールで国際バカロレアのディプロマプログラムを履修中。十代の視点から日々の気づきを発信していきます。