さくぶん道場 第175回

日本が世界に誇れると思うもの 大谷雅憲

日本ではワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)という野球の世界大会で盛り上がりました。最高視聴率は準々決勝の48%、なんと6258万人がテレビでこの試合を見たことになリます。

僕も侍ジャパンの試合は全てライブ中継で観戦しました。どの試合も面白かったのですが、今回、特に興味を持ったのは、プレースタイルにしても、応援の仕方にしても、報道のされ方にしても、その国の文化が反映されていたことでした。従来の日本野球は小技と技術を重視するスモールボールだったのが、今回は投打共にパワーが加わりました。また、日系の選手が加わったことで異文化の融合という新しい取り組みを見ることもできました。

侍ジャパンは予選と準々決勝を東京ドームで戦いました。全日程を終えた翌日にWBC公式ツイッターが東京ドームでの名場面を特集した動画とともに、「プールBの偉大な開催国となってくれた東京に感謝します!」とメッセージを投稿。この投稿には海外からも「日本の情熱とホスピタリティ(もてなし)に勝るものはない」「準決勝や決勝もここで開催すべきだ。異様な雰囲気」「素晴らしい」「日本は見ていて最高だった」などのコメントが寄せられていました。

日本の選手が対戦相手国の選手に敬意(リスペクト)を持って接していたことも各国で話題になりました。

日本の観客が相手チームの好プレーに惜しげもなく拍手をする態度も驚きの目で見られていたようです。もちろん、日本の食事やお菓子・観光地・コンビニ・トイレの評判がいいのは言うまでもありません。

その後、侍ジャパンは決勝戦でアメリカと戦い、最後は投手大谷がトラウトを三振で斬って優勝という劇的な終わり方をしたものですから、今でも日本はWBCの余韻に浸っています。

「さくぶん教室」もそれに便乗して、「日本が世界に誇れると思うもの」というテーマで話し合いました。WBCでは「おもてなし」「相手に対する敬意」「礼儀正しさ」「日本食」「コンビニ」「お菓子」「観光地」「温水洗浄便座」などが賞賛されていました。別の角度から見てみましょう。「日本が世界に誇れる発明」というアンケートでのトップ10です。

1位 インスタントラーメン

2位 青色ダイオード(LED)

3位 温水洗浄便座

4位 自動改札機

5位 カラオケ

6位 レトルトカレー

7位 乾電池

7位 電気炊飯器

9位 胃カメラ 10位 シャープペンシル

インスタントラーメンが1位なのは僕も納得です。全世界で消費された量は約1182億食(カップ麺を含む 2021年)。安くて簡単に作ることができることで世界の飢餓や災害時の救世主でもあります。もちろん日常的に食べてもおいしい。ちなみに一人当たりの消費量が多い国は、韓国・ベトナム・ネパール・タイ・マレーシア・日本の順になっています。

温水洗浄便座を経験した外国人が大絶賛するのを何度も聞いてきたのでこれも納得です。WBCで東京にやってきた記者は、「米国に戻ったら、まるで石器時代に来たようだ。温水洗浄便座がついていないなんて、一体どんな地獄なんだ」とコメントしていました。僕も本帰国してからスーパーや高速道路のパーキングなどの公衆トイレがほとんど温水洗浄便座になっていたことに正直驚きました。

他にも、マンガやアニメ、「かわいい」、桜、四季、など、日本が世界に誇れると思うものはまだまだたくさんありそうです。宮島に行くと外国人観光客でいっぱい。満開の桜の下を散策しながら「天国にいるみたい」というつぶやきが聞こえてきました。