インターナショナルスクールからの高校入学(編入)について

高校入学のタイミングで本帰国となる生徒はどんな準備をしておくべきか、代表的な帰国生受け入れ校の考査内容を例にとって見ておきましょう。各校の傾向を見ておくと、4月の高校入学以外の時期の編入の際にも参考になると思います。

帰国生を募集している高校は大きく2つのタイプに分かれます――日本人学校生を念頭において募集しているのか、インターナショナルスクール(以下、インター校)生も広く受け入れたいと考えているのか。志望校を検討する際には、その見極めが必要となります。前者では日本の中学校教育課程における国数英(理社を含むこともある)の学力が求められるため、それに則した学習が必須となりますが、後者の場合はそれ以外の学力・能力を測る試験が用意されています。ACT教育ラボの中核はインター校生のため、この記事では後者について見ていきたいと思います。

今回参考資料としたのはACT教育ラボ(ACT教育研究所)からも多くの生徒が受験・入学・編入している高校、首都圏では国際基督教大学(ICU)高等学校、東京都立国際高等学校、学芸大学附属中等教育学校、関西圏では立命館宇治高等学校、同志社国際高等学校、関西学院千里国際高等部の6校です。多くの場合、合否を決める項目は「成績」「英語能力」「作文・小論文」「面接」といったところですが、すべての学校が英語資格試験のスコアを重視するとか、英語や日本語の作文を課すわけではありません。順番に内容を確認していきましょう。

  • 在籍校での成績 これはどの高校も重視します。インター校に入って間もないうちは英語力がついていかず成績が思うように伸びない場合がありますが、重要なのは少しずつでも上げていく努力をすること。学校の成績はテストや授業中の発言のみで決まるわけではなく、課題の提出も大きな割合を占めるので、できることに全力で取り組みましょう。ゆるやかでも右肩上がりになっていることが大切です。
  • 英語能力 海外で培った英語能力の指標として、TOEFL79点以上/5点以上/TOEIC790点以上/英検準1級以上(いずれか1つで可)といった英語資格試験のスコアが挙げられます。この点数に達しておくと、同志社国際の特別推薦入試やICUの帰国生徒推薦入試の受験資格が得られます。また、この点数に達しなくてもスコアがそれなりに高ければ他の学校でも出願の際に有利に働くと思われますが、都立国際IBコースのように合否に全く影響しないとする学校もあります(当然それ以上の英語力があるものとみなしている可能性が高いですが)。
  • 作文・小論文 ICU高校以外はほぼ全ての試験方式で採用されています。国内生とは異なる、海外で培ったものの見方を論理的に表現する力が求められます。そのためにはまず滞在国やインター校で価値観の異なる人々や出来事と出会い、付き合い、自分の世界を広げていくことを大切にしてください。受験対策としては、そこからさらに一歩進めて、経験を相対化または抽象化して自分の考えを相手(読み手)に伝える練習が必要になります。使用言語については、同志社国際・立命館宇治IBコースは英語を指定、立命館宇治IMコース・千里国際・都立国際は英語か日本語のどちらかを選ぶ、学芸大国際は英語と基礎日本語の両方を課す等、学校により違いがあります。
  • 面接 面接は全ての高校で課される試験科目です。ほとんどが日本語での個人面接になりますが、都立国際は希望する言語(英語または日本語)を選ぶことができ、千里国際は日本語と英語で質問はするものの英語力の評価には関係しません。学芸大国際はグループ面接で一つのテーマについて受験生同士でディスカッションを行います。同志社国際と立命館宇治は保護者面接もあります。

*最新のデータについては各校のHPで確認をしてください

学校HP
国際基督教大学高等学校https://icu-h.ed.jp/
東京都立国際高等学校https://www.kokusai-h.metro.tokyo.jp/
学芸大学附属国際中等教育学校https://www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp/
立命館宇治高等学校https://www.ritsumei.ac.jp/uji/
同志社国際高等学校https://www.intnl.doshisha.ac.jp/
関西学院千里国際高等部https://www.kwansei.ac.jp/sis