巻頭vol.43 / 2026年3月号
全国学校図書館協議会が毎年実施している「学校読書調査」に関する記事をいくつか読みました。よく取り上げられていた数字があります。中学生の不読者数(1ヶ月に読んだ本が0冊)が、2016年に15.4%だったのが2025年には24.2%に急増したというものです。ちなみに2025年の高校生の不読者は55.7%という深刻な数字になります。
こうした記事を読んで直ちに「近頃の若いもんは」と説教を始めるのが正しいおじさんの条件反射なのですが、今回は、ぐっとこらえて元の調査データに目を通すことにしました。すると、数字に間違いはないのですが、統計の読み取り方に作意があることがわかります。
1995年から31年間の不読者数の推移をまとめてみました。
| 1995 | 2005 | 2015 | 2025 | |
| 小学生 | 15.5 % | 5.9 % | 4.8 % | 9.6 % |
| 中学生 | 46.7 % | 24.6 % | 13.4 % | 24.2 % |
| 高校生 | 61.3 % | 50.7 % | 51.9 % | 55.7 % |
この統計からわかることは、本を読まない児童・生徒が多いのは31年前で、その後本を読むようになってきた。しかし、5年前頃から、再び本を読まない児童・生徒が増えてきたということでしょう。
ここに別の調査結果を重ねてみます。文部科学省の「全国学力・学習状況調査」によると、2023年から児童・生徒の学力低下の傾向が現れています。低下しているのは「知識・技能」分野ではなく、「思考・判断・表現」分野だということです。そして、「読書をしない児童生徒ほど学力テストの正答率は低い」「知らないことがあったらすぐ調べればいいというネット依存」を原因として挙げています。過渡期の一時的な現象かもしれませんが、「読書とは何か」を考え直すいい機会かもしれません。
所長 大谷雅憲
2月の最終日、アメリカがイスラエルと共にイランに軍事攻撃を行い、戦争が始まりました。ミラノ・コルティナオリンピックの最中からトランプ政権によるイラン爆撃については取り沙汰されていましたが、オリンピック閉幕の1週間後に噂は現実のものとなりました。4年前の北京オリンピック閉幕直後にロシアがウクライナ侵攻を始めたのとまるで同じタイミングの開戦で、デジャヴを見ているようです。
タイミングで言うと、もう一つ気になることがあります。今年は2月中旬からイスラム教のラマダンが始まっていて、今まさに断食期間中。この約一ヶ月間は「家族と多くの時間を過ごし、亡くなった方々へ思いを馳せ、チャリティー等、善い行いをすることが重要とされています(国連UNHCR協会HPより)」。マレーシアでいえば、「バーレ、カンポ〜ン♪」の帰郷ソングが街に流れ、日没前のラマダンバザールが賑わい、断食明けのお祝いに向けて皆がなんとなく浮き足立つ時。この特別な時期を狙ったかのような開戦には、ムスリムでない私でもその非道さに怒りを覚えます。
先週、スペインのサンチェス首相は国内の米軍基地をイランへの軍事攻撃拠点としたいアメリカの要求を拒否し、「戦争はごく少数の者だけが利益を得るが、平和は私たちすべてに利益をもたらす」と述べて、国際法の遵守を訴え、戦争反対を言明しました。この考え方に私も賛成です。
代表 佐々木真美

