あじなんだより Ajinan Report Vol.40

ACT教育ラボの所在地は広島県西部にある廿日市市阿品(「はつかいちし・あじな」と読みます)。「あじな」の住民になった自らを「あじなん」と名づけ、暮らしの中で気づいたこと・感じたことを報告していきます。今回は隣町でマレーシアを紹介する催しに参加した件。サポートのため文字通り走りまわる公民館の担当さんの姿が忘れられません。

去年いっしょにKL~ペナンを旅したT子さんから声がかかり、隣町の公民館で催されるマレーシア紹介のイベントをお手伝いすることになりました。広島市内の大学院に留学しているマレー人のニザールさん(とそのお友だち)からマレーシアのお話を聞き、その後に調理室に移動して参加者みんなでサテを焼いて食べようという、楽しげな企画です。私は一応、通訳者的な立場での参加だったのですが、二十数年かの地で暮らしておきながら、マレー語はろくに操れません。今回ひねり出した入魂の二言がこれ。

「マレーシアのミルクティ、テ・タリ(Teh Tarik)の “タリ”は引っ張るの意味です」と、解散時にマレー人参加者と交わした「Jumpa lagi!(また会いましょう)」。

ま、いいんですよ、マレー人の皆さんが達者な日本語を使われるから、下手な英語で通訳するよりも、よっぽどわかりやすかったのではないかと思います。

文化紹介ではマレーシアの観光名所の案内やらイスラム5行(信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼)の説明やらマレー武術シラットのパフォーマンスやらと盛りだくさん。質問コーナーで「サンタさんは来るんですか?」と聞いてきた小学生に「お手紙を書いたら来ますよ〜、日本と同じですね」と答えていたのがマレーシアらしいなあと。

クアラルンプールでもクリスマスが近づくとムスリマ(女性のイスラム教徒)の店員さんたちが普段かぶっているスカーフの上にサンタ帽をのせて接客していたり、ショッピングモールには巨大クリスマスツリーが飾られて、そこでみんなして映え写真を撮っていたり。互いに異教徒の習慣を否定せず、ちょっと乗っかって楽しんでしまうところに長年つちかった知恵と余裕が感じられます。12月25日は国民の祝日になってるし。

レクチャーに続いてお料理教室へ。マレー風焼き鳥のサテは下準備をニザールさんが整えてきてくれたため、参加者は並べてオーブンに入れるだけ。それでも皆さん、わーきゃー言いながら作業しておられました。

サテが焼き上がるまでは先述のテ・タリの実演として、お友だちのハキムさんが一年間かけて習得した(本人談😆)技を披露。

二つのカップを駆使して、ミルクティを糸を引くかのごとく交互に入れ替えながら泡立てていくのですが、カップを遠ざけながら中身をこぼさず入れ替えるのが超絶難しい(大抵、床がべちゃべちゃになる)。出来上がったテ・タリは泡がクリームのような舌触りで、とても美味しいのです。このテ・タリを参加者もやってみようということになり、小学生たちはかなり真剣にトライ。「家でもやりたい!」とお願いされたお母さん、「やるなら、お風呂場だな」と冷静に答えていました(笑)。

こんがり焼き上がったサテは大好評で、用意した200本の串はきれいさっぱりなくなりました。

※素敵な民族衣装をまとった素敵な面々とご機嫌で写真に収まる筆者(左端。隣がT子さん)