2024秋入学グローバル入試総括
海外生にとっては日本の大学への出願方法の一つとして定着しつつある「グローバル入試」。2024年秋入学の結果を踏まえて、今年度の傾向を振り返り、これからの対策を考えてみたいと思います(2024年4月号記事を再編集しました)。
この秋に入学を迎えるグローバル入試の受験結果がほぼ出そろいました。この入試形式では主に、英語で学位が取得できる秋入学の、いわゆる英語学位コースに出願することになります。グローバル入試の主な選考材料は、以下の通り。
・成績(ハイスクールの成績、Aレベル・IBDPのスコアなど )
・英語外部試験のスコア(TOEFL、IELTS等)
・英文志望理由書/課題エッセイ
英語学位コースでは日本語能力を問わずに卒業までの単位を得られることから、当然高い英語力が求められます。ただ、これまで早稲田・慶応であればTOEFLは最低でも101点(120満点中)は欲しいところでしたが、昨年夏にTOEFLが内容を変更して以降は高スコアが出にくくなっているようで、そのことを反映してか、今年度は「何が何でも100点+αが必要」ではなかった印象があります。とはいうものの、グローバル入試を考えるのであれば、まずは100点を目標に学習を進めていくべきと考えます。出願まで半年を切った時点でスコアが90点台半ばに達しない場合は、志望校・学部の再考を視野にいれて対策を練り直しましょう(TOEFL本部からオフィシャルスコアが大学に届くまで、最長2ヶ月程度かかります)。
統一試験の成績として、国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)が日本のグローバル入試で近年多く利用されるようになった一方で、それと同等またはそれ以上に難度の高いイギリス系のAレベルは今ひとつ認知度が低い状態が続いているように感じられます。同様に、HSC、CIMPほか各国基準の修了証は、それだけで大学受験資格として認める大学もありますが、それに加えてSATやACTのスコアを求める大学があるため、IBDP以外の生徒は受験資格の事前リサーチに早めに取りかかり、対策を立てることが必須となってきます。
英文志望理由書については、学校の成績やTOEFL等のスコアがそれなりによくても、これが不十分では合格は難しいでしょう(もちろん受験者のポテンシャルを表現しきった志望理由書であっても、大学が求める学生像との違いから不合格ということはあります)。おそらく受験生のそれまでの人生でいちばん真剣に取り組むことになる文章作りですが、一方でハイスクールやカレッジでの最終成績に直結する課題提出や模擬試験等も同時並行で次々と課されるため、秋以降は想像以上の忙しさになります。オーバーフローでお手上げにならないよう、志望理由書作成は早めに取りかかりましょう。
以下に英文志望理由書を作る際のポイントをまとめました。合否の決め手は、ひとことで言えば「自分は魅力的な学生である」ということを表現できるかどうか。自分自身が胸を張ってそう言えるよう、充実した学校生活を送ることが最大・最善の対策です。
英文志望理由書に入れるべきコンテンツ+書き方のコツ
1)大学でどんな学問をやりたいのか=テーマは何か(その大学・学部を目指す最大の理由)
・どんな出来事を経験して、そのテーマに興味を持つようになったのか
・そのテーマに関連して、どのような活動をしてきたのか
2)これまでの学びとこれからの学びの関連性
・アカデミックな内容:ここまで学んできたことを大学でどう発展させたいのか
・学業以外での活動:課外活動とそこで得た学びは何か
3)大学生活に期待すること、自分が大学に貢献できること
+補足!
4)美しくなくてもよいので、自分の頭で作った文章で書きましょう。生成AIにサポートさせると、文面がきれいなだけの没個性なものとなり、採点者にはバレます。もしバレなくても、印象の薄い文章になる可能性が高いです。