KLスカラン by KAYA 第11回

複眼で見るマレーシアA面「ラマダンバザー」
1つのトピックに母娘それぞれの感性で迫るコラボレーションコラム

*スカラン(sekarang) :マレー語で「今」の意

3月の途中からラマダンが始まりました。ラマダンとはイスラム教徒の陰暦に合わせて約一ヶ月ほど日が出ている間は断食する期間のことです。朝7時前から夜の7時過ぎまで食べ物はおろか水さえ飲めないため、熱帯気候のマレーシアではかなりの苦行です。日が出てない夜の間にめちゃくちゃ食べて昼は涼しいところでなるべく動かない、これがベストですが学校や仕事があって中々そういう生活は難しいですよね...。でも、やっぱり最近昼は道路が空いていて、みんないつもよりかは動いていないんだなと分かります。

こんな感じで街が少し静かになる中、夕方になると夕食を売るラマダンバザーというものが各所で出てきます。気温30度越え、熱帯の強い日差しが降り注ぐ中、大量の食事を作って売るバザーの人たちには大尊敬。あんなに暑くて、しかも断食している途中なのに倒れずに食べ物と向き合えるなと感心します...。ずらっと並んである食べ物は全て美味しそうでついついたくさん買いすぎてしまいます。が、しかし、一言言いたい。野菜は? 緑はどこ? ラマダンバザー、圧倒的に野菜が少ない。色んな味のカレー、肉・魚、ご飯・パン、揚げ物、甘いドリンク、フルーツ、お菓子、なんでもあるけど野菜はない。別に野菜がなくたって美味しいからオールオッケーだけど、毎日これ

だったら絶対緑のものが恋しくなる。マレーシアに来てから気づいたのですが、日本って結構野菜を食べる国だなと思いました。和食がヘルシーって言われるのも頷ける。だってこっちの食事って油ばっかりで野菜ないんだもん。

母の知り合いのマレーシア人は、マレーシアの家庭料理は野菜をたくさん食べると言っていたみたいですが(確かにマレーシアローカル食版ビュッフェだと野菜も食べようと思えば食べれます。でも正直たくさん取っている人は一回も見たことない)、それでも日本よりは食べる機会が少ない。マレーシア保健省によると、国民の約半数が適正体重を超えていて肥満率は日本の四倍以上。暑いから一秒1ミリでも動きたくない、なのに油をたくさん使った美味しいちょっと不健康な食べ物がたくさんある、結果肥満の人が増える。

この健康問題は年々深刻になっていて、保健省は頑張って取り組んでいるみたいですが中々解消しないのが現実です。日本だとちょっと想像できない問題ですよね。こう見るとやっぱり日本人ってよく動くし和食ってヘルシー。

あとラマダンバザーはイスラム教徒が集まる場所なので、パレスチナの旗が至る所にあります。前も書いたように、屋台の前にパレスチナ旗、自分のエプロンにパレスチナ旗、自分のマスクにパレスチナ旗、着ている服にパレスチナ旗、停めてある車にパレスチナ旗、しまいには自分の顔にパレスチナ旗フェイスペイント。主張が激しいよ。それくらい彼らにとっては深刻で身近な問題なんだろうと感じられます。国際関係・宗教って難しい。というかこの国の人たちは旗が好きすぎる。当たり前のように家の前にはマレーシア国旗と州旗、ビル、学校、屋台、お店、車、変なデコレーションにも国と州の旗が使用されています。日本だと祝日じゃない日に家の前に国旗なんて掲げてたら右翼なのかと思われてしまいそうですが、こっちだとすごく見慣れた光景。

みんな何とも思いません。自分の国と州にプライドを持ってて良いなと思います。私も彼らに見習って、日本の地元にプライドを持ちたいと思います...。

ライター:KAYA(マレーシア名物ココナツミルクのジャムと同じ名前です) 2005年12月生まれ。マレーシア・クアラルンプールのアメリカ系インターナショナルスクールで国際バカロレアのディプロマプログラムを履修中。十代の視点から日々の気づきを発信していきます。