あじなんだより Ajinan Report vol.20

ACT教育ラボの所在地は広島県西部にある廿日市市阿品(「はつかいちし・あじな」と読みます)。「あじな」の住民になった自らを「あじなん」と名づけ、暮らしの中で気づいたこと・感じたことを報告していきます。今回はトドのろく次郎&抜釘術。初めて知ったことば「抜釘(ばってい)術」、今後使う機会はあるのでしょうか。

厳島神社を擁する廿日市市宮島町にある水族館「みやじマリン」では去年秋にトドのヨネタローが急死し、プールにはメスの心愛(ココア)一匹のみとなり、寂しくなっていました(私が)。それが先月、大分の水族館から1歳のオス「ろく次郎」が招かれて展示が始まったというニュースを聞きつけ、早速年間パスポート(3回で元が取れるお得な入館証なのです)を手に宮島へと向かったのでした。

現地はいつも通り外国人観光客で大にぎわい。フェリーターミナルを出ると鹿があちこちでくつろいでおり、小さい子どもが、「わーシカさんだー」(と言っているかどうかは外国語のため不明)といった感じで、グングン近づいていく。鹿も慣れたもので、ベタベタ触られても泰然自若としている。鹿のからだにはダニやノミがたくさんいるので、本当は触らない方がいいのですけども。

水族館ではちょうど「ペンギン撮影タイム」をやっていて子どもたち大興奮。スナメリを見てもエイを見ても、とにかく寄っていってガラス越しにでも触りたがる。小さい子どもを見ていると、「人間というものは元来、自分以外の誰かと友だちになりたい生き物なのかもな」と思います。それが成長するに従って、なんだかんだあって素直に行動に移せなくなり、挙句に「ひとりがいいや」とか「あいつは敵だ」とか言い始めるのかもしれません。

でも、ろく次郎や心愛を眺めていると、やっぱり友だちになれたらいいなあなんて、この年齢になってもふと夢想してしまいます。ちなみに、ろく次郎ですが、まだ子供なのでメスのココアと同じぐらいの体型の約200kg。オスは成長すると夏は600kg、冬は800kg程度になるとプール掃除中の飼育担当の方が教えてくれました。

二月の最終週に手術を受けました。去年九月に骨折した右手首がほぼ元の状態に戻ったので、埋まっていたプレートとワイヤーを除去したのです。この手術を抜釘(ばってい)術と言うそうで、同意書にサインをする時にこの漢字なのだとわかりました。なぜ釘なのだろう、プレートだから板ではないのかと思いましたが、取り出された金属片を見て納得。プレートは何本もの釘で固定されており、この釘を抜くことでプレートが外れるのですね。

手術は全身麻酔だと一晩入院が必要ということだったので、今回は局所麻酔でやってもらうことにしました。その日のうちに自宅に戻れるという利点のほか、手術がどんなふうに進んでいくのかに興味があったのも理由の一つです。

実際には手術中は顔を布で覆われて執刀医のメスさばきを自分の目で見ることはできませんでしたが(ちょっと残念)、医師と助手が力を合わせて、「よっこいしょ!」てな感じで大工仕事みたいに作業を進めていく、まさに外科手術!という雰囲気は体感できました。

術後にプレートと釘を記念にと渡されました。わざわざ滅菌までしてくれたのに要らないとも言えず、自宅に持ち帰ったのがこの写真のブツです。