あじなんだより Ajinan Report vol.17
ACT教育ラボの所在地は広島県西部にある廿日市市阿品(「はつかいちし・あじな」と読みます)。「あじな」の住民になった自らを「あじなん」と名づけ、暮らしの中で気づいたこと・感じたことを報告していきます。第17回は阿品をちょっと離れてクアラルンプール編。10月末から11月頭にかけてバタバタと行ってまいりました。
昨今、日本各地でオーバーツーリズムが言われはじめ、地元でも「宮島、いつ行っても混んどるな〜」と体感していたはずなのに、ぜんぜん分かっていませんでした、ここで言うツーリストとは外国からの訪問客で、その人々は国際空港を利用するのだということを。今回のKL行きでは、午前中に出発するフライトだからと関西空港近くのホテルに前日泊し、三時間以上もの余裕をもってチェックインしたにもかかわらず、そこから手荷物検査場に入るまでの列の長さたるや、東京ディズニーランド開園当初に人気アトラクションのスペースマウンテンでこんなんあったかも、というぐらいの長さです。それでも、「さすがに最終搭乗時刻には間に合うでしょ」とタカを括っていたのですが、非情にも時の流れと行列の進み具合は比例せず、ついには空港職員の「最終コール! クアラルンプールへ出発のお客さま〜、いらっしゃいますかぁ〜」の声に必死に手をあげて行列から拾い出してもらい、ダッシュの末、検査場に捩じ込んでもらうハメに陥りました。
一緒に走ったマレーシア人青年も、「わー間に合わなーい」と堪能な日本語で嘆いていたので、私だけが日本の実情に置いていかれているのではなく、やはり異常な混みようなのだと思います。とはいえ、訪日観光客が2019年並みに戻ったという報道からすると、観光客の数そのものが要因なのではなく、コロナの流行で水際対策として厳しい入国制限をした際に空港スタッフを人員削減したまま元の数まで増えていないのかもしれません。
しょっぱなからアワアワした旅立ちでしたが、KLでの滞在中はたくさんの友人知人と会って話してお茶してご飯を食べて、と充実した数日間を過ごしました。最終日、急遽予定がなくなって、ぽっかり時間が空いたので、思いついたのが、「路線バスに乗ってメガモールに行って映画を観る」プラン。そうです、このACT通信で連載中のコラム『KLスカラン』の9月号の記事にあった “ぱぶりっくトランスポーテーション部”の活動に触発され、小銭を握りしめて滞在先(部屋から右の写真を撮りました)近くのバス停へ。
やってきたラピッドKLバスのステップを意気揚々と上がったところ、あれ、運賃箱がない?! 運転手さんが言うにはTouch’n GO(マレーシアの交通系I Cカード)でないと乗車できないとのこと。1リンギット札じゃダメ?と食い下がったものの、断られてしぶしぶ降車し、そこから同カードを探し求めること数時間。デサ・スリハタマス中を汗だくになって歩き回り、ようやく入手したカードを手にバスに乗ったのはいいのですが、今度はカードリーダーが反応してくれない!
乗車口付近でぐずぐず手間取っていると、運転手さんに「いいから早く奥へ行って」てな感じで手で払われてしまいました。終点で降りる際にも反応しないので、外から運転席まで回り込んで、「お金が払えな〜い」とアピールしたところ、運転手さんはなぜか軽くウインク。その表情は「今回は見逃してやるぜ、無銭乗車め」
……そんなバカなと思いつつ、その足で向かったMRT駅の券売機で確認したところ、購入したカードにはチャージしないとまるっきり運賃が入っていなかったのです。うわーん、ありがとう、ラピッドKL。