巻頭 vol.1 2022年9月号

日本での新生活は、本帰国というよりも新たな異文化体験の連続でした。帰国の日はネコ二匹を連れての移動だったので、関空でレンタカーを借りて目的地の広島へ。途中、日本での生活を始めるための手続きをする必要があって、実家のあった宝塚市役所に寄りました。車を停止し、エンジンを止めようとしたときに、カギを挿してある場所が見当たりません。「どうやってエンジンを止めるんだ。そもそも、カギはどこにある?」。ネットで検索をして事なきを得ましたが、スマートキーなるものがあることを初めて知った瞬間でした。

生活もマレーシアにいる時とは180度変わりました。マレーシアでは夜型で、コロナが流行してからはコンドミニアムの最上階の部屋で「巣ごもり」生活をしていました。それが今では早寝早起きで、雑草が生い茂り枯葉が積もった小庭を掘り起こしたり掃除したりすることが毎日の楽しみになっています。授業案が思い浮かばなくて困ったら、すぐに小庭に直行です。おかげで身体に筋肉が戻ってきました。

何もかもが新鮮な異文化体験が続く日本での生活も一ヶ月が過ぎました。中でもACT教育ラボでのオンライン授業も順調にスタートできたことが一番の出来事でした。

所長 大谷雅憲

8月1日よりACT教育ラボが本格的に動き出しました。当地の商工会議所への会員登録も行い、事業体として足元を固めていく準備も整いました。この間さまざまな手続きのため、市役所に何度も足を運ぶことになったのですが、市役所には図書館が併設されていて、久しぶりの図書館ライフを満喫しています。基本2週間の貸し出しなので、返却期限に間に合わせようと(延長はできるのですが、なぜかムキになり)スマホを触る時間も惜しんで本を手にとる毎日です。

マレーシアにいる間は「読んでみたいけどアマゾンで日本から取り寄せるほどではないな」と諦めていた本や昔読んで好きだった作家の近年の著作はもとより、自分では思いつきもしなかったジャンルの書籍を目についた端から読める、しかもつまらなかったら返せばいいだけだなんて、考えてみたら贅沢な話です。日本の図書館文化の素晴らしさを再認識しました。

代表 佐々木真美