巻頭 vol.0 2022年7-8月号

6月20日に運送業者がやってきて1時間ちょっとで引っ越しが完了しました。段ボールにして44箱。ほとんどが書籍や書類、あとはわずかな衣装と小物類で、家具や食器、電化製品などは置いていくことにしました。あと残りの1か月弱の日々をがらんとした部屋で過ごすことになります。

私がマレーシアに来たのは1994年の1月でした。ACT教育ラボの前身の前身である「ライトハウス進学教室」のマレーシア校に国語と社会の教員として派遣されました。当時の教室はサウジャナビラの中にあり、教師は6人、生徒は1学年で30人以上いる年もありました。

マレーシアに来る前は、東京の国語作文教育研究所というところに所属していました。作文教育の講師をしながら、青少年の問題行動について取材をしたりマスコミと情報交換をするのが主な仕事です。専門学校でも教えていました。あるとき、「これでは身体が持たないな」と思い、「マレーシアで3年ほどリラックスしてこよう」と軽い気持ちでやってきたのが、その後、28年間も滞在することになるとは思ってもいませんでした。

次の本拠地は広島県の宮島の対岸にある海の近くにあります。そこに児童書や本やDVDなどを置いて近所の子どもたちが自由に使ってダラダラできるスペースを作る予定でいます。次号はそうした「海辺の家」からのレポートになります。

所長 大谷雅憲

対岸に厳島神社の大鳥居を望む、廿日市市阿品(はつかいちし・あじな)への8月からの移転を前に、月刊「ACT通信」パイロット版(第0号)を発信いたします。

マレーシアで帰国生・海外生教育に携わって二十年余り、心身ともになじんだクアラルンプールの生活から離れることは淋しくはありますが、いまはオンラインで世界中のみんなと顔を合わせて話せる時代。新しい可能性におっかなびっくり挑みつつも、これまでと変わらず地道に教育の仕事に携わっていこうと思いを新たにしています。

世界のいろんな場所から授業を受けてくれる生徒の皆さん、それをバックアップしてくださる保護者の皆さんには心よりお礼を申し上げます。日本に戻る機会があったら、ぜひ広島に足を伸ばしてみてください。ACT教育ラボで待っています。

代表 佐々木真美