言語AI 「Chat GPT」で遊ぶ

2022年11月に公開された人工知能ツールのChat GPTが話題になっています。対話型のサービスで、質問に答えてもらうことも、オリジナルの文章を作成することも、文章を翻訳することもできます。また、人間味あふれる会話を楽しむこともできます。一方、英語圏の教育界では衝撃が走っていて、Chat GPTの使用を禁止する高校や大学も出てきています。試験やレポートなどを「代筆」できるレベルにあるからです。もちろんプロの教師なら「代筆」を見抜くことはできますし、Chat GPT自体にその文章を生成した可能性を聞くと「99.9%」という答えが返ってきたというケースもあります。教育界が心配しているのは落第や停学になる学生が増えることのほうでしょう。

実際に使ってみて感じたことは、Chat GPTは「お人よしで人間味がある」ということです。間違うことも結構あります。宮島水族館のスナメリの赤ちゃんの初披露があったので、そのことを問うと、よく知らなかったようで、宮島水族館のことには触れずにスナメリの説明だけをします。しかもスナメリは「海ガメ」だそうです。

「クジラじゃないの?」と訊き返すと、「本当に申し訳ありませんでした。二度とこのような間違えをしないように気をつけます」と、本気で謝ってきました。

しかし弱点もあリます。あまりにも正しくて真面目で前向きな結論を出す傾向があります。芸術作品の創作などには向いてなさそう。たとえば、「RCサクセション風の歌詞を作って」とリクエストすると、返ってきたのは「人生は一度 限りの旅路 後悔のないよう 全力で生きよう 失敗もあるさ でもそれも経験 明日も挑戦 こんな日々が輝く」というフレーズ。だめだ、こりゃ。

作文道場番外編の「インター生に求められる『学力』って何だろう」のテーマについてキーワードを使ってChat GPTに質問してみました

さくぶん道場主

グローバル化が世界で進む中、日本だけが先進国で取り残された理由は?

Chat GPT

日本がグローバル化に取り残されたわけではありません。日本は、グローバル化の波に乗り、世界的な企業やブランドを生み出し、海外市場でも成功を収めています。ただし、他の先進国と比較して、日本の経済成長率が低く、外国人労働者の受け入れが進まないなど、課題があるとされています

さくぶん道場主

しかし、ここ30年間、実質賃金が上がっていません。OECDで26位です。何が問題なのですか

Chat GPT

日本の実質賃金が上がらない主な理由は、生産性の低下や働き方改革の遅れ、人口減少など様々な要因が挙げられます。また、日本の企業はグローバルな競争力を維持するため、コスト削減や労働生産性向上を図ることが求められており、それが賃金の低下につながることもあります。政策的には、賃金の上昇を促進するための労働法改正や、働き方改革の推進、人材育成などが検討されています

さくぶん道場主

どのような人材を育成すればいいと考えますか

Chat GPT

将来的に求められる人材は、デジタル技術やグローバルな視点に強く、イノベーションを生み出す力を持った人材と考えられます。特に、AIやロボット工学、ビッグデータ、サイバーセキュリティ、デザイン思考などの分野に精通し、ビジネスや社会課題の解決に取り組むことができる人材が求められています。また、英語力や異文化コミュニケーション能力、チームワーク力も必要不可欠なスキルとなっています。これらのスキルを身につけるためには、教育や研修制度の改革が必要になります

さくぶん道場主

そのような人材育成を阻む、日本の教育の問題点を教えてください

Chat GPT

日本の教育において、以下のような問題点が指摘されています。

  1. 偏重される記憶・暗記教育:試験対策を中心にした学習が行われ、クリエイティブな思考力や問題解決能力の育成が不十分な場合がある。
  2. 偏差値主義の過剰な競争:偏差値を重視した入試制度が、学力重視の教育を生み出し、学生や教員のストレスや負担を引き起こしている。
  3. 講義型授業の多さ:一方的な知識の伝達に偏る講義型授業が多く、学生の能動的な学習やディスカッションが行われない場合がある。
  4. 外国語教育の不足:グローバル化に伴い、英語をはじめとする外国語教育が必要不可欠となっているが、教育内容や教員の英語力が不十分である。

これらの問題点に対して、より能動的な学習やディスカッションを促す教育手法の導入や、評価方法の多様化、外国語教育の充実、教員の専門性向上などが求められています。

質問を絞り込んでいくと、「インター生に求められる『学力』って何だろう」で取り上げた日本の教育の問題と「4つのC」(コミュニケーション・協働・批判的思考・創造性)の重要さについてChat GPTもほぼ同じ結論に辿り着きました。(大谷)