さくぶん・小論文クラス 2022年まとめ

昨年8月にACT教育ラボとして再スタートしてから半年が経ちました。大谷が担当する「さくぶん教室」「小論文準備クラス」「小論文演習クラス」の授業テーマを振り返ってみます。

さくぶん教室

土曜 正午〜13:50(マレーシア)13:00〜14:50(日本)    
対象:小学校高学年〜中学校3年
【読解系】

「木の葉化石の夏」(短編アニメーション映画)

美大生の卒業制作アニメを鑑賞して、作品から読み取れるものを話し合いました。

「謎解き:夏のキャンプ」

写真(実際にはイラスト)を徹底的に読み解くことで、キャンプに参加している人数、風向き、日時、名前、この日の料理当番など、9つの問いの答えを探していきます。

「聴く力」鷲田清一

「聴く」という行為は受け身な印象を持たれがち。でも、実は相手の存在を丸ごと受け止めることで、不安定な精神状態に陥った人を癒やす効果がある、という臨床哲学者のエッセイを読んで、「聴く力」について考えました。

「鏡の世界」

「鏡」の性質や特徴をあげていったあとで、古代日本で「鏡」が果たす役割について説明しました。そして、神話や伝説、文学作品、アニメなどで鏡がどのように扱われているのかについて話し合いました。

「バッハ作曲『14のカノン』を聴く」「『パッヘルベルのカノン』を聴く」

NHK「名曲アルバム+」の動画では音楽を視覚的に表現する工夫がされていました。階段の高さは音の高低、階段の幅は音の長短を表しています。そして、3つのキューブが順番に階段を上下しながら動きます。最初は音声を消して、この視覚イメージからどんなふうに音楽が構成され展開していくのかを事前に想像しました。次に、音声と動画を見ながら細かく分析していきました。

【一般的なテーマ】

「動物園はなくすべきだ〜賛成か反対か」

「クララとお日さま=AIロボットと遺伝子操作の近未来」カズオ・イシグロ

「日本らしさと日本人らしさ」

「2022年、私の5大ニュース」

「超・進化論〜植物編」

作文のテーマとしてよく出題されるものを選びました。『クララとお日さま』はIB日本語でも使用している作品です。今回は作品読解ではなく、まず表紙のイラストを見て、どんなストーリーなのかを想像します。次にこの作品のテーマであるAIロボットと遺伝子操作について、現在どこまで実現しているのか、どのような可能性と問題があるのかについて説明しました。

【論作文の入試問題】

「子どもの笑顔量:関西学院大学2013年」

「『焼却炉』小説の分析IB日本語2017年」

「人を外見で判断してはいけないという意見について:法政国際高校」

「日本文明と近代西洋:静岡県立大学2000年」

「ある人にとっては快適でも、別の人には不快であること:同志社国際高校」

「あなたが滞在した国の『宝』とは:同志社国際高校」

 小中学生に大学入試問題やIBのFinal Exam問題をさせるのは、いくらなんでも無理じゃないかと思われるかもしれません。でもそれができるのが作文教育の面白さなのです。もちろん、専門的は知識がないと書けない問題や難解な文章はここでは取り上げません。自分たちの経験や発想で取り組むことができるテーマを扱っています。

「さくぶん教室」が無学年方式をとっているのは、「正解のない問題に対して自分で問いを作り、自分なりの答えを見つけること」を目指しているからです。ですから、小学生でも大学入試問題に取り組むことができますし、逆に、中学入試問題に高校生が頭を悩ませることもあります。そして、中学生の意見を聞いた小学生の知識の幅が広がったり、小学生の発想に中学生が驚いたりという光景も「さくぶん教室」ならではの光景だと思っています。

小論文準備クラス

木曜 19:40〜21:30(マレーシア)20:40〜22:30(日本)
対象:高校1年生〜2年生
【時事問題】

「ゲーテッド・タウン」

「SDGsと共生社会〜コロナで広がる先進国の貧困」

「格差社会」問題は、ここ数年、小論文テーマの定番になっています。マレーシアでも広がるゲーテッド・コミュニティについてのエッセイと、コロナ禍で広がる先進国の貧困についての新聞記事を取り上げました。

【マレーシアを知る】

「立ち上がれ日本人〜マハティールの見た日本とマレーシア」「マハティール、20世紀を語る」

「滞在国についての理解」は帰国生には欠かせません。小論文だけでなく、志望理由書や面接でも聞かれる内容です。「ルック・イースト政策」「ブミプトラ政策」「AEC(ASEAN経済共同体)」などのキーワードを理解するために、当事者のインタビュー記事を元に授業をしました。

「少数派の声、メディアが代弁〜筆者の意見に反論する」

マレーシアを批判するイギリスの政治学者の記事を読んで、大谷が3つの点に分けて反論しました。記事と反論を比較検討してジャッジしてもらいました。

【一般的なテーマ】

「スティーブ・ジョブズのスピーチ」

Apple創業者であるスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った歴史的なスピーチの動画と文字起こしを読みながら、感想を聞きました。本当に素晴らしスピーチで、10代の若者にせひ聞いてほしいと思います。

「『焼却炉」小説の分析IB日本語2017年」

「謎解き:夏のキャンプ」

「2022年、私の5大ニュース」

「『パッヘルベルのカノン』を聴く」

【大学入試小論文】

感情移入と他者理解:早稲田大学2005年」

「経済学と人間の心:一橋大学2015年」

「子どもの笑顔量:関西学院大学2013年」

「自然の時間と人工の時間:早稲田大2009年」

「日本文明と近代西洋:静岡県立大学2000年」

「地球温暖化:ICU2019年」

「日本人はなぜ存在するか:早稲田大2018年」

「〈貧困〉のコンセプト:立教大学2006年」

小論文演習クラス

金曜 19:40〜21:30(マレーシア)20:40〜22:30(日本)

対象:高校3年生

【時事問題】

「ゲーテッド・タウン」「ビッグテック〜膨張する権力」

「コロナ後を拓く思想〜宇沢弘文と中村哲」

  • 社会的共通資本について、文中の言葉を使って説明してください。(400字程度)
  • 社会的共通資本の考えは、コロナ後の世界でどのような意味を持つのか、また、あなたはこの考え方に対してどう思うのかについて論じください。(600字~800字)

「SDGsと共生社会〜コロナで広がる先進国の貧困」

   

【マレーシアを知る】

「マハティール、20世紀を語る」

「少数派の声、メディアが代弁〜筆者の意見に反論する」

【一般的なテーマ】

「スティーブ・ジョブズのスピーチ」

「2022年、私の5大ニュース」

【大学入試小論文】

「感情移入と他者理解:早稲田大学2005年」

「子どもの笑顔量:関西学院大学2013年」

「専門主義と教養:早稲田大学2012年」

「社会力:早稲田大学2011年」

「大衆社会とファシズム:早稲田大学2016年」

「群れの暴走とファシズム:早稲田大2019年」

「日本文明と近代西洋:静岡県立大学2000年」

「日本人はなぜ存在するか:早稲田大2018年」

「統合を求めない多文化主義:早稲田大学2021年」

「〈貧困〉のコンセプト:立教大学2006年」

 小論文演習は早稲田大学の問題を中心に授業を進めてきました。理由は、課題文の文章量がA4で2ページと長すぎず、課題文の理解と生徒の海外体験を元にした表現力が求められるバランスのいい出題になっているからです。テーマも時代の動く方向を掬い取った良問です。後半は一橋大学の問題を中心に進める予定でいます。