巻頭 vol.2 2022年10月号

「日本語を母語とする人が英語を伸ばすためには、日本語力を高めることが大切だ。日本語力以上に英語力が伸びることはない。」という内容の記事をネットで目にしました。当たり前すぎる指摘ですが、こうした記事を書く必要があるほど、母語と第二言語の関係について考える機会が少ないのかなと思いました。

もちろん例外もあります。国際校生の場合です。小学校からインターナショナルスクールに通って、日本語の学習をしなければ、第一言語は逆転します。また、新聞が読める程度の語彙力(義務教育修了レベル)がないと、日常会話ならともかくとして、知的作業では逆転が起きるでしょう。

と、書きながら思い出したことがあります。僕は20代後半から30代の前半にかけて、専門学校で「日本語教養講座」というクラスを受け持ちました。対象は英語科・スチュワーデス科・観光科の学生。教えるきっかけになったのは、この学校のアメリカ人の副学長が「日本語の教養と表現の基礎ができていないと英語をそれ以上に伸ばすことはできない」と考えていたからでした。

授業の内容はさくぶん教室レベルです。「誰もが考えることができるが、どこまでも深く考えることができるテーマ」を考えました。1クラス40人全員が毎回発言し文章を書いて提出することを求めました。1年目は2クラスでしたが、受講希望者が多く、次の年からは4クラスになりました。彼らも考える機会、アウトプットする機会に飢えていたのでしょう。

今はインター生に作文や小論文を教えていますが、僕の授業の中心にはこの「母語と第二言語の関係」がベースにあるような気がします。

所長 大谷雅憲

 

ACT教育ラボの新しいホームページができました(いまご覧になっているこのサイトのことです!)。八月末から商工会議所で講師の先生に教えてもらって作業した結果、ボタンを押したら該当ページにちゃんと飛ぶし、プルダウンリストも使えるし、お問い合わせフォームまで備えた、ふつうにHPらしいものになって感激ひとしおです。

この講習のゴールは見ばえのいいHPを作ることではなく、受講者が自分でHPを更新・編集できるようになることで、先生が「これだけは覚えてください」「これは初回しか必要ない作業です」と内容をきっちり切り分けてくれたため、「ドメイン」も「サーバ」もおぼろげな生徒でもどうにか最後までついていけました。しかも先生、提出した課題をちゃんと評価してくれる。年齢に関係なく、ほめられるとうれしくなって、やる気が出るものですね。今回、教えることの大切な要素を生徒の立場から身にしみて感じました。

HPトップページのイメージ画像には宮島水族館で先日撮影したトドのコマチちゃんが仰向きで気持ちよさそうに水中を滑る姿を使いました。ぜひトップページのコマチちゃんの美しい流線形を見てみてください。

代表 佐々木真美

※訂正 宮島水族館のトドの女の子はコマチちゃんではなく心愛(ここあ)ちゃんでした。ちなみにトドの男の子はヨネタローです。写真は頭だけ日光浴するヨネタロー