巻頭vol.42 2026年2月号

今日は衆議院選挙の日です。温暖な瀬戸内沿岸でも雪が積もるぐらいですから、雪に悩まされた選挙として記憶されることでしょう。

 昨年行われた参議院選挙と東京都知事選挙の時に選挙予測が大きく外れました。これまでは、ネット上での政党や候補者の人気は、実際の投票行為に影響を与えないと考えられていましたが、SNSでの宣伝活動や応援動画が直接選挙結果に影響を与えるようになりました。

 そうなると政党や支持者は当然、SNSでの宣伝に比重を高めるでしょう。さらに飛躍的に発達して手軽に使えるようになった生成AI技術を使った巧妙な(悪質な?)動画が大量に流れたのも今回の選挙の特徴でした。

 情報伝達技術の発達は政治や社会の仕組みを変えます。1920年代の大衆社会の形成とラジオという情報伝達手段の発達がファシズムを生み出したことについて、早稲田大学は二度にわたって帰国生小論文で取り上げました(「大衆社会とファシズム」2016年度、「群れの暴走とファシズム」2019年度)。

さらに、2022年度の問題では、「合理的無知」(知識の獲得にかかるコストより知識を得ることによる利得が少なければ知識を得ることを諦める)な人たちのバイアスが選挙結果に反映するというテーマが取り上げられていました。

 ラジオよりはるかに影響力を持つSNSが選挙に直接影響を与える時代です。「自由からの逃走」をした群れが強い指導者を求めて「合理的無知」による選択をしないように、これから投票に行ってきます。

所長 大谷雅憲

日本列島はこの冬最強と言われる寒気に覆われて各地で降雪となり、私の住む廿日市でも今まさに雪が降りはじめました。空から落ちてくる雪片を見ると、かつて台湾人の年下の友だちが「人生で初めての雪!」と空をうっとり見上げていた姿を思い出します。

彼女はフィギュアスケートを見るのが好きで、特に日本の男子フィギュアスケーターの大ファン。前回の北京オリンピックの期間中は台北に住む彼女とクアラルンプールにいた私の間で、「羽生結弦VSネイサン・チェン談義」がメールで盛り上がりました。その時点で「体調がすぐれず病床にある」と彼女本人から聞いてはいたのですが、二年前の秋に亡くなり(私は長らくそれを知らず)、去年の春先に彼女の夫から訃報が届いて初めて知りました。

この週末はミラノ・コルティナでの冬季オリンピックが始まり、フィギュアスケートの団体戦で日本選手が活躍をしている様子がテレビで映し出されています。4年前、日本びいきの彼女は「ハニューは神だが、ウノも素晴らしい。カギヤマはキュートだ!」と全員を熱くほめたたえるメールを送ってきましたが、その鍵山優真選手が日本のエースになっているのを見て天国で悦に入っていそうです。

代表 佐々木真美