あじなんだより Ajinan Report vol.41

ACT教育ラボの所在地は広島県西部にある廿日市市阿品(「はつかいちし・あじな」と読みます)。「あじな」の住民になった自らを「あじなん」と名づけ、暮らしの中で気づいたこと・感じたことを報告していきます。今回は日本の水産業における外国人受け入れ問題と「わらしべ長者・リターンズ」です。なんのこっちゃ。

先々月のこのコラムで紹介したベトナム人のAさんの体調がなかなか上向かず、地域でいちばんぐらいに大きい病院に行くことになりました。で、通訳と間違われながら私がまたまた同行するのですが(私のDuolingoにおけるベトナム語レベルは「私は自分が猫だと時々思う」ぐらいに上がりました👍)、大きい病院だけに待ち時間が長い長い。で、暇なもんだから、二人してあれこれ話すわけです(もちろん日本語)。

彼女が養殖カキの会社で働いている関係で、今期瀬戸内海で壊滅的な不出来となったカキの話から、社長の九十歳過ぎているお母さんが毎日浜にある社屋に通勤してきて凄すぎる(日本人は長生きだと感嘆しつつ)話まで。とりわけ私が興味を持ったのが外国人の在留資格について。Aさんは現在、特定技能1号という資格で最長5年の滞在期間なのですが、2号になると家族の呼び寄せができ、事実上、永住も可能になるのだそう。その職場に社長の右腕として働いているベトナム人の先輩社員がいて、2号の資格を取りたいけども、試験対策にあてる時間がとれず、結果、帰国せざるを得ないとのこと。えー、もったいなさすぎる。そこまで経験を積んだ技術者をみすみす手放すなんて、廿日市のカキ養殖業界にとって、いや、ひいては廿日市市民にとって損失以外の何ものでもない。ここは私が一肌脱いで2号試験合格のお手伝いをするしかあるまい! と勇んで試験対策テキストをネットで見てみたところ…、ひぇぇ〜! なんですか、このムズさ。

内容はおそらく現場の人たちにとって周知のものなのでしょうが、それを小難しく書きことばにしたものを読んで解けとは。しかも同じ養殖業の試験にカキとホタテ両方の内容が含まれていて、カキ一筋で働いてきた現場の人には、ほとんど無理ゲー。せめてカキとホタテを別立ての試験にしてくださいと訴えたいけれど、そもそもそれをどこに向かって言えばいいのか…。ということで、2026年はこの件に取り組んでみたいです。情報をお持ちの方、ぜひご連絡ください。

そんなこんなで2025年が暮れようとしていた12月30日の夕方、Aさんから電話がかかってきました。「センセイ、カキ食べる? 殻付きカキあります」

カキは好きなのですが、過去2回あたったせいか、焼きガキは食べると胃液が上がってきて2個が限度。それでもたまにはいいなと思い、ありがたく頂くことにして受け取りに行ったところ、Aさん、妙にでかい缶を下げて現れます。よく見ると一斗缶、18Lの液体が入るアレです。「カキ、90こです」

聞きまちがいだろうと思いました。なので、深く考えずにお礼を言って持ち帰ったのですが、…ほんとに90個でした。

あわてて近所の知り合いに連絡したところ、みなさん、地元なだけに今期の不漁をよくご存知で、よろこんでもらってくれたうえに、お返しに高級焼き菓子やら畑で取れたての野菜やら岩国名物レンコンなどがわんさかと。先々月同様に今回もわらしべ長者化しました。いや、長者(=財産家)ではないので、わらしべ者ですかね。