マレーシアノート・教育編その2

マレーシアのインター校「イギリス系カリキュラム」

マレーシアで一番多いのがイギリス系カリキュラムを採用するインターナショナルスクール(以下、インター校)です。クアラルンプール近郊だけでも、アリススミススクール(KLASS)やガーデンインターナショナルスクール(GIS)といった老舗校をはじめとして、100以上のイギリス系インター校があります。

第一の関門・IGCSE

イギリス系インター校では、Year11の終わりにIGCSE(International General Certificate of Secondary Education)という試験があり、合格するとイギリスの義務教育修了が認められます。これは日本の高校程度の内容が英語で出題されるものと考えるといいでしょう。ただし、就学期間は日本の高校2年生相当のため、日本の高校卒業資格にはなりません。では日本の高校卒業に相当する資格(=大学入学資格)を得るには?

第二の関門・A-level

IGCSE修了後、一般的には約2年間の大学進学予備課程である「Aレベル」を受講し、Year13で試験を受けて大学入学資格を取得します(IGCSEを修了していなくてもAレベルを受験することは手続的には可能ですが、私の受け持った限りでは、IGCSEをすっ飛ばしてAレベルを取得した生徒はいません)。

Aレベルは日本やイギリスだけでなく、世界の多くの国で大学入学資格として認められます。しかし大学レベルの高度な内容を含むため、単位を取得するにはかなりの努力が必要です。ですので、IGCSE修了後にカナダ系などの別カリキュラムに移って、大学入学資格を得るケースもよく見受けられました。

知っておくべき日本との違い

全生徒のIGCSEスコアの平均が学校全体のレベルとみなされるため、良い成績が見込めない生徒にはIGCSE受験をさせない方針をとっているインター校が以前ありました。こうなると生徒はいつまで経っても進級できず、かといって日本に戻ると中卒になってしまうといったジレンマに陥ってしまいます。日本の中学校からイギリス系インター校に転入する場合は、「英語が母語でない生徒に対するIGCSE対策がどうなっているのか」を確かめておくことをお勧めします。

日本の高校はいったん入学したら、よっぽどのことがなければ3年後に高校卒業資格に大学入学資格をつけて卒業させてくれますが、外国の教育システムはそうとは限りません。「マレーシアのインター校にハイスクールの最終学年まで通ったけど、自分に大学入学資格があるのかわからない」という相談を受けたこともあります。インター校のカウンセラーも各国の進学状況に詳しい方ばかりではないでしょうから、「早めに+正確な」情報収集をしていきましょう。