KLクナンガン* 母のぼやき 第11回
*KL memories(KL追想)の意
地球の暮らし方B面「祝ムルデカ! 祝セーリング!」
今年8月31日のマレーシア独立記念日、ムルデカ*パレードの中継動画を見ました。乗り物マニアとして有名な現アゴン・イブラヒム国王、この8月に開通のジョホールからKLまでの高速鉄道の試験運転もなさったそうですし、パレードでは王妃を助手席に乗せ自ら運転するプロトン車で登場! いいですねぇ!
その少し前に昨年のパレード動画を見直していたら、Bukit Kepongの悲劇*について触れている場面がありました。マラヤ連邦独立までの闘いの象徴とされるこの事件、KLの国立博物館や警察博物館、ポートディクソンの軍事博物館でも詳しく紹介されていましたが、映画『Bukit Kepong』(1981年)を見ると、マラヤ非常事態宣言下(1948年-1960年)にマラヤ共産党と戦う警察と市民の厳しい状況をうかがい知ることが出来て、現在のマレーシアにとってムルデカは特別な記念日なのだと、私にも分かる気がします。7月に100歳を迎えたマハティール元首相が8月の原爆投下日前後に長崎を訪れたそうだけど、彼はどんな思いで過去100年と未来の100年を眺めているのでしょうか。。。


さて、ムルデカに想いを馳せながらも、オランダで開催された5年に一度のお祭り「アムステルダム セイル2025」(8月20〜24日の五日間)に行って参りました。素晴らしかった! 世界24ヵ国から800隻以上の様々な帆船が大集合、大型帆船からボートまでフツーの日本人おばさんとしては一生分の船を見た気がする。。。
帆船も個人参加のボートも素晴らしかったのですが、何よりあの船だらけの川を横断するフェリーに感動しました。川というよりも船の波を横切って向こう岸とこちら岸を通常運行する無料のフェリー。信号なんかありませんし、警察のボートもフェリーのための交通規制なんかしてなかったし、意外とフェリーが小回りな動きをしてびっくりしたり。それを見て感じたんですが、フェリーが大小の船を横切って進めるってことには、全体的に何と言いますか、アジアとはちょっと違うヨーロッパ風なコミュニケーションが上手く作用しているんですかねぇ。。。でもフェリーとは関係ないところで小さな接触事故や沈没事故が多発してたみたいです。国王の操縦する大型ヨットでさえ市民のボートと近づきすぎて “Sorry! “という動画も流れてましたから。


最終日に喧騒の旧市街を離れて少し郊外へ行くと、そこには普段着のオランダらしい静かでのんびりした風景が広がっていました。船着場にはお祭りのパレード参加を終えた船もAmsterdam Sail 2025のオレンジの旗をなびかせながら帰ってきていました。普段から運河や川を自家用の船で行き来している人たちをよく見かけますが、何と言いますか、気取った感じがなく極めて日常のワンシーンであり、あたりまえのことを当たり前に楽しんでいる様子です。
このようなワンシーンを見かけながら個人的に思うのは、オランダ人は20万円のハイブランドのバッグを買うよりも、同じ20万円なら極上カシミヤのパジャマを買う文化があるのではないかと。。。あくまでも個人的な印象ですが、この国には質実剛健と海千山千が同居している感じがします。。。
お祭りの記念に公式グッズ売り場でジグソーパズルを購入しました。パズルには SAIL Amsterdam 2025 の旗が描かれており、カオス感も見事に表現されている! 図柄はオランダの有名なイラストレーター Jan van Haasteren の作で、彼のパズルシリーズはコレクターもいるほど。この1000ピースのパズル、次回Amsterdam Sail 2030までの完成が目標です。

*マレーシア独立(「ムルデカ」はマレー語で“独立”の意)は1957年8月31日、イギリスからマラヤ連邦として独立。1960年9月16日にシンガポール・サバ・サラワクが加わり、マレーシア連邦となる(シンガポールは1965年に分離独立)。
*Bukit Kepongの悲劇=Bukit Kepong事件:1950年2月23日の未明、ジョホール州ブキッ・ケポン村にある警察駐在所が武装ゲリラ約180人に襲撃された事件。当時、駐在所にいた警官20人とその家族は数時間にわたり激しく抵抗し、結果として多くの犠牲を出したが、国を守るために勇敢に戦った象徴として広く語り伝えられている。
筆者紹介
B面担当・KAYAの母:2020年より5年間暮らしたマレーシアを離れて現在オランダ・アムステルダムに滞在中。ヨーロッパの片隅から、ときに鋭く、ときにゆる〜く話題に切り込みつつ、相変わらず、ぼやいていきます。
A面担当・KAYA(マレーシア名物ココナツミルクのジャムと同名):2005年12月生まれ。KLのインターナショナルスクール卒業後、昨秋から日本の大学に籍を置き、まもなく2年生の新学期がスタート。東京での学生生活をはじめ、国内外のいろんな街をぶらついては立ち止まり、あれこれ考えつつ呟きます。が、今月は残念ながら休載。