巻頭vol.37 2025年9月号

8月の終わりに島根県の松江市を中心とした小旅行をしました。初めて訪れた土地なのに、見るもの、食べるもの、会う人が自然に馴染むという不思議な2日間でした。

 次のNHKの朝ドラ「ばけばけ」は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・セツが主人公ということもあって、松江のあちこちに小泉夫妻の写真が見られました。

ギリシャ生まれのアイルランド人であるラフカディオ・ハーンの母親はアラブ系のギリシャ人。父親は大英帝国のインド駐在武官で、ハーンが生まれてすぐに離婚。ハーンはアイルランドの大伯母に預けられ、カトリックの厳しい教育をひとり受けされられる。やがて無理やり修道院系の宿舎に入れられ、キリスト教への強い反感を持つようになります。

その後、十代で家を出て、アメリカ、西インド諸島と放浪の半生を送ったハーンが、心の故郷として全身で愛したのが明治初期の日本でした。そこは、母の国ギリシャのような多神教の国であり、厳格なキリスト教とは違う、「子どもの魂の不安に寄り添い救ってくれる」小さな妖精たちの国でした。

東京帝大での小泉八雲の後任が夏目漱石。日本の英語教育の創設期に、このように繊細で豊かな才能の、それでいて幼少期の救われない二つの魂を持ったことは出来すぎた偶然に思えます(所長 大谷雅憲)

9月になったとはいえ、暑い日が続きます。日本に戻って3 年が経ちますが、その間にも春と秋が短くなっていく感じがして、せめて気分だけでもと秋らしさを探してみると、スーパーのお菓子コーナーでは「いも」「くり」を前面に押し出した品揃え、ファストフードや珈琲チェーンでは期間限定「お月見バーガー」売り出し中、商業施設のディスプレイはハロウィンカラーのオレンジと黒が目を引きます。さすがの商魂、日本に暮らす消費者の季節感を求める心理をしっかり把握してますね(きっちり把握されている側です…)。我が家ではお月見うさぎを飾りました。十五夜お月様の頃までには涼しくなっていることを願いつつ。

さて、今年の秋もKLに参ります。10月27日〜11月1日の期間、学習や受験に関するご相談などあれば(なくても、良ければ一緒にお茶でも!)、お目にかかれればと思います。お気軽にご連絡ください(代表 佐々木真美)