KLクナンガン 母のぼやき 第10回
地球の暮らし方B面「はたらくくるま イン・アムステルダム」
海外の工事現場で日本製の重機が活躍しているのを見ると、私の頭の中には名曲「威風堂々」が流れ、なんともいえない晴れがましい気持ちになります。KOMATSU、KUBOTA、HITACHIやMITUBISHIのはたらく車、YAMAHAやKAWASAKIのはたらくエンジン、それらを前にすれば口先ばかりのエセ貢献アピールだらけの世界が霞んでしまいます。マレーシアでは日本製重機とエンジンが多かったのですが、オランダではほとんど見かけません。
しかし、アムステルダム近くで開催された日本フェスティバルで「燃える男の赤いトラクター」に私は出会いました。その瞬間、私の頭の中にはあの往年のCMソングが流れました。帰宅してフルバージョンを聞いてみたら、
♪風に逆らう 俺の気持ちを 知っているのか 赤いトラクター ♪燃える男の赤いトラクター それがお前だぜ いつも仲間だぜ ♪さあ行こうさあ行こう 地平線に立つものは 俺たち二人じゃないか♪
日本の農業をこんなにもストレートに且つカッコよく作り上げ歌い上げることのできた作詞家と作曲家と歌手がいたなんて、ああCMすらも愛おしい。その名は『YANMAR ヤンマー』


非上場で創業者の理念を貫く世界的な日本企業に感動だ。
展示された最新の真紅のヤンマー製トラクターは美しく燦然と輝いて、オランダ人も日本人も運転席に乗り込んで記念写真を撮り、このはたらく車、はたらくエンジンの際立つ存在感にみんな圧倒されていました。日本から遠く離れたオランダの大地をヤンマーの赤いトラクターが耕しているなんて、日本人としての誇りで私の胸はいっぱいだ。日本はアニメやゲームだけじゃない、地味に扱われがちな一次産業への貢献も実に頼もしい。
日本フェスティバルはKLの盆踊りの規模には及ばないけど大盛況。将棋や盆栽、苔玉、食品ミニチュアなどの体験ブース、日本食ブース、そしてステージショーも日本人学校生の演目などで大盛り上がりで、着物姿の英国人昭和歌謡歌手(世界中の日本フェスに出演しているらしい)もシティポップを歌っていました。彼らの歌う美空ひばりや寺尾聰の歌も完璧な発音の日本語で歌唱力も高く、そしてドリフターズの「良い湯だな」の「ハー、ビバノンノン」という掛け声も完璧に歌いこなしていました。日本を好きでいてくれる人が世界には結構いるのかもしれないと思うと嬉しくなります。

数日後、ひょんなことからヤンマーが出資する割烹がアムステルダムの家のそばにあることを知りました。前店主が高齢のため閉店するところを、それは惜しいとヤンマーが引き継いだとのこと。なおメニューは会席コース€150(¥25,000)からとお値段も一流!割烹へはいつか行けたらなと思いますが、まずは収穫機を引っ張る赤いトラクターの活躍を見られるかもしれない初夏のジャガイモ畑へのドライブに行ってみたいと思います。オランダのジャガイモは美味しい!