巻頭vol.35 2025年7月号
マレーシアではコンドミニアムの高層階に住んでいたので、庭のある毎日は新鮮な発見があります。金柑は実がたくさんなってマーマレードにします。ビワ・柿・キウイは一度切ったところから再生し始めています。桃とブルーベリーとオリーブは鉢植えで、巨峰は庭に植えました。
楽しみにしているのは、スーパーで買った果物の種や葉の再生にチャレンジすること。葉がついているパイナップルの芯を水につけておくと根が出てきます。それを植木鉢に植え替えると、すくすくと育っていきます。メロンの種も芽が出てきました。実際に果実ができるかどうかはわかりませんが、夏休みの自由研究みたいでワクワクします。


庭でカラカラに乾いていた苔をビンの中に入れて霧吹きで水を吹きかけるとビンの中に不思議な森が誕生しました。どんな森になるのかが楽しみでビンの森は3つになりました。
睡蓮鉢があったので睡蓮とメダカを入れてビオトープを作ってみました。自立した生物生活空間が維持できますように。
所長 大谷雅憲

廿日市市に隣接した広島市西区の光禅寺という浄土真宗のお寺にイスラム式のお墓が一つあります。八十年前の原爆投下で亡くなったイギリス領マラヤ(現マレーシア)出身のニック・ユソフさん(享年十九歳)がここで弔われていると教えてくれた友人と先日お墓参りに行ってきました。
ユソフさんは当時の日本政府が東南アジアから招いた南方特別留学生のひとりで、現在の広島大学にあたる広島文理科大学で教育学を学んでいました。

当時の広大とその予備課程ではマラヤとインドネシア出身の学生が合計9名いましたが、1945年8月6日の原爆投下直後にユソフさんは他の留学生たちと離れ離れになってしまい、翌7日に五日市で亡くなったのではないかと推察されています。そのお骨が光禅寺に持ち込まれて、住職が供養を行い、後に遺族が来日したタイミングでお墓をイスラム式に建て替えたとのことでした。
こんなところでもマレーシアとのつながりがあることに驚きつつ、日本は唯一の被爆国ではあるけれど、被爆者は日本人だけじゃないのだなと当たり前なようでうっかり見落としそうな事実(韓国・中国出身者も多数いたはず)に思い当たりました。世界中の誰もが核兵器にも戦争にもうんざりなはずなのに、いつまで経ってもなくならない。ここが人類の叡智の使いどころじゃないかと8月を前に思うのです。 代表 佐々木真美
