巻頭vol.17 2024年新年号
NHKの朝ドラ『ブギウギ』を見るのが最近の習慣になっています。主人公のモデル笠置シヅ子は歌手としての全盛期は知りません。私が生まれる前に歌手を引退していましたから。それでも、関西で育った人間にとって、笠置シヅ子は「けったいなおばちゃん」であり、「東京ブギウギ」「ジャングルブギー」「買い物ブギー」などは聞き慣れた曲でした。幼いときには「歌も歌えるお笑い芸人」だと思っていましたが、自分も楽器を触るようになると、笠置シヅ子の凄さ、作曲者の服部良一の凄さを理解できるようになり、CDを買って何度も聴くようになりました。いつの時代に聴いても古びることのない「新しさ」を感じますが、既成の価値が崩れて先行きの見えない現代だからこそ、朝ドラを通して新たに復活したのではないかと思います。
趣里の演じる笠置シヅ子が素晴らしい。音楽監督を務める服部隆之(服部良一の孫)が見事に趣里で現代に蘇らせました。紅白歌合戦で主題歌を演るということで楽しみにずっと待っていたのですが、何らかの事情があって出演を辞退したそうです。知らなかった。
元々大阪のジャズ・ブルース文化が好きだったこともあって、この作品をきっかけにその歴史と背景を学びたくなって、年末年始は、『歌う自画像〜私のブギウギ伝説』(笠置シヅ子・宝島社)『ブギの女王 笠置シヅ子』(砂古口早苗・ 潮出版社)『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』(輪島裕介・NHK出版新書)『ぼくの音楽人生 エピソードでつづる和製ジャズ・ソング史』(服部良一・日本文芸社)などを、ノートを取りながら読み耽っています。
本年もよろしくお願いします。 所長 大谷雅憲

あけましておめでとうございます。皆さま、どんなお正月を過ごされたでしょうか。私は大晦日の真夜中、除夜の鐘を聴きながら家を出て、近所の神社・寺院をハシゴでおまいりし、帰宅していったん就寝、起床後はだらだらと日中を過ごす、典型的な寝正月の元日でした。夕刻、スマホを触っていると飛び込んできたのが能登半島近辺で大地震が発生したというニュース。
テレビではどのチャンネルも報道一色となっていて、画面を見ている間にも余震の速報が次々と流れます。新しい一年を祝って楽しく過ごすはずのお正月に被災・避難生活だなんて、もし自分だったらと身のすくむ思いがしました。
そんな中、あるボランティアチームが川やプールの水を浄化してお湯を沸かすシステムを携えて現地入りし、被災者に入浴サービスを行って喜ばれているという記事がありました。非常時なんだから風呂ぐらい我慢すべし的な精神論を吹っ飛ばす、こうした柔軟なテクノロジーのあり方・使い方に未来の光が見える気がします。
代表 佐々木真美