KLスカラン 母のぼやき 第4回

複眼で見るマレーシアB面 by KAYAの母
1つのトピックに母娘それぞれの感性で迫るコラボレーションコラム

シンギュラリティの後に到来する時代の名前がどうしても思い出せない。シンギュラリティ、しんぎゅらりてぃ…。ある日、娘が学校のTOKという授業でその時代について考えたのだと話してくれました。シンギュラリティとはAIが人類の知能を超える転換点だということはなんとなく知っていたのだけど、娘が繰り返し話していたその転換点後を表すカタカナ単語がどうしても思い出せないのです。そうだ、確かMで始まる単語とSで始まるステージという単語の組み合わせだったような気がする、そんな時はいつでも頼りになるグーグル先生に聞いてみよう! 「シンギュラリティ、スペース、なんとかステージ」で検索ポン! グーグル先生はたくさんの検索結果を示してくれたけどどれもこれも ♪ちがうちがう、そうじゃな〜い♪と私の頭の中で鈴木雅之が歌ってしまいました。

そしてその後、数日の間は自分がその単語を忘れていたことすら忘れていたのですが、ふとした瞬間そのことを思い出し再度娘に尋ねたところ、「あ〜それはねぇパラダイムシフトね」と教えてくれました。おお〜確かに何度も聞いたその響きだ! Mで始まると思い込んでいたがMUで終わる単語だったし、概念を自分流に解釈してしまっていたせいでシフトじゃなくてステージと思い込んでいた自分が哀れでした。哀れだと思ったにも関わらず、またまたその単語を忘れてしまったので3度目に娘に聞いたところ「自分でパラダイムシフトって入力する作業を行わないから覚えられないんだよ、ったく」と言われてしまいました。あらら、入力作業と書く作業ってどこか似てる部分もあるものねぇ。それに、検索するときも土台になるキーワードの不十分な人は良い知識を得られないようになっているのね、これじゃぁ情報格差は広がるばかりだわ…。

昔Myブームという流行語がありましたが、私は今現在もう既にMyパラダイムシフトに見舞われております。マレーシアでのパンデミック、日本と違う生活の常識、日本と違う学校の常識、言葉の壁。コロナ真っ只中に始まった娘のIB DP生としてのマレーシアでのインター生活、それは娘のパラダイムシフト、そしてその母としてのMyパラダイムシフト。この時代みんなそれぞれに変化の度合いは違えどもそれを乗り越えて生きていかねばならないのだと思います。新美南吉の『おじいさんのランプ』を今読んだら身に染みるのかもしれません。えっ、そんな今までの変化とは比べ物にならいほど匠の技も意味を失う劇的ビフォーアフターが到来するの? さて、パラダイムシフトって何回入力したかな、もう覚えられたかな? 仏の顔も三度までだから。

ライター:KAYAの母 2020年より夫娘とともにマレーシア生活をスタート。ときに鋭く、ときにゆる〜く、話題に切り込みつつ、ぼやいていきます。